
まず蟹江敬三さん、お疲れ様でした。
一回だけの面識でしたが、お酒が大好きな蟹江さん、きっと天国でも飲んでおられる事でしょう。
本当に、御苦労様でございました。
さて
何から話そうかな……
まず
70年代初頭において最も新宿と密接に結びついた演劇集団として「現代人劇場・櫻社」があった。演出蜷川幸雄・脚本清水邦夫・出演蟹江敬三・石橋蓮司、新宿文化アートシアターを根城として連続公演をした時代が、70年代の熱気と新宿がクロスした奇跡的な瞬間だった。
という事は、今の世代はあまり知らないのじゃないかな。でも何故か蜷川さんとの仲がいいような報道があるけどなんなんだろう。
僕が蜷川さんから聞いてた限りは、櫻社を解散して二人で会ったきり会ってないはずだから。
今日の蟹江さんの会も仕事を理由に欠席した筈だから……
蜷川さんの真意は判らないけど、かつて(随分昔だけど)私の先生でもあった如月小春さんが亡くなった時も、独特の死生観を述べていらっしゃったから、かなり複雑な事情がおありなのだと思います。
しかし僕は、蟹江さんの報せを受け、蜷川さんが発表した言葉の裏側にある、真意を、やっと少しでも感じられるようになってきたかなと思います。
かつて私はエチュードで、清水邦夫さんの
『僕らが非情の大河をくだる時』
を蜷川さんに演出してもらいました。
その時『お前の演ってるその役、昔、蟹江が演ったんだよ、すごかったぞ。』
って仰有ってました。
今でも清水作品を演出する蜷川さんの意図は、芸術世界に対するアジテーションももちろんですが、僕がそばにいて感じた事は、あの時代の想い出の欠片を、どこかで大切に持っていらっしゃるのだと思います。
二人だけにしか判らない
友情や
違う道を選びながらも
お互いを理解しあう
長い年月というものは
一概に語れないものなんだな、と。
さとう珠緒さん
堀川りょうさん
岸田健作君
いしだ壱成さん……
まだまだ先輩役者さんから、學ばせていただく事が多いのだなと、初心を持ち頑張らさせていただければと思います。