

六本木にある超高級マンションのホームパーティに招待された。月200万円は下らないマンションの一室。色々な業界から色々な人が集まった。景色もまた格別で、東京タワーや森ビルがここまで高く間近に見える場所は他にはないだろう。入り口も二重オートロック、受付に名前を言わなきゃもちろん入れない。待合室もシャンデリアの素晴らしい所、もはや待合室ではない。
庶民には夢のような時間。いわゆる勝ち組の仲間に入れると錯覚する、至福の時間。
でも僕にはこの美しいはずの景色やマンションが、なぜか灰色の、醜く朽ち果てた、風すらも吹かない荒れた荒野に見えてしまう。歓喜する人々の反応が、新興宗教の教祖にあった時の反応と同じに見えてしまうのはなぜだろう。一般人は立ち入り禁止らしい。一般人ってなんだろう。幸せって何だろう。そう考えながら、僕はこの恵まれていると呼ばれている景色をたた、眺めていた。